鋼材の腐食速度計測

コンクリート構造物の再劣化に介在するマクロセル腐食とは


近年,床版増厚やコンクリート構造物の断面修復後における損傷の再発や再劣化が顕在化しており,維持管理上の問題となっています.コンクリート構造物の再劣化では,マクロセル腐食といわれる腐食形態が介在していることがあります.マクロセル腐食は,内在塩分量の多いコンクリート構造物の断面修復などで発生する場合があり,部分的に腐食速度が極端に速くなるため,補修工事ではマクロセル腐食に対する検討を行って,適切な対策が必要になります。
コンクリート中の鋼材腐食は,図-2に示すように鋼材表面の不動態皮膜が破壊された部分で,アノード域とカソード域と呼ばれる電池が形成されることで進行します.一般的な鋼材腐食では,アノード域とカソード域が同位置で起こっていますが(これをミクロセル腐食といいます),塩化物イオン等の影響で部分的に鋼材が腐食し易い環境下では,化学反応が離れた位置に起こる場合があります.このような孔食を伴う腐食を“マクロセル腐食”といいます.つまり,塩物が多いような箇所では鋼材がイオン化し易く,局所的に激しい腐食が発生します(図-1マクロセル腐食参照).
上面増厚後の鉄筋腐食状況例
上面増厚後の鉄筋腐食状況例

コンクリート中の鋼材腐食メカニズム
コンクリート中の鋼材腐食メカニズム

マクロセル腐食対策


コンクリート中の鋼材腐食に対する対策としては,鋼材に防錆処理を行う方法,コンクリート表面に撥水処理などをする方法,コンクリートに亜硝酸リチウムなどを混入する方法,電気防食工法などが用いられています.特に,断面修復時におけるマクロセル腐食対策としては,打継ぎ面に撥水系の表面保護材を塗布する工法(遮蔽型マクロセル腐食対策工法;平成18年度 土木学会関西支部 技術賞)が行われており,長期的にマクロセル腐食を抑制する効果を確認しています.
遮蔽型マクロセル腐食対策の実施例
遮蔽型マクロセル腐食対策の実施例

マクロセル腐食速度の計測モニタリング


実橋の補修工事で実施された遮蔽型マクロセル腐食対策工の長期的な効果を確認するため,当社では,コンクリート埋め込み型の小型センサーを用いたモニタリング計測を実施しています.小型センサー設置箇所の分極抵抗,液抵抗,自然電位を計測し,これらの計測データから鋼材腐食速度を算出して,コンクリート構造物の健全性評価を行います.
図-4 マクロセル腐食速度の計測システム
マクロセル腐食速度の計測システム